INTERVIEW

2026.05.21

【富岡】岩崎 亨さん(富岡市職員・Gmoto Project)

【富岡】岩崎 亨さん(富岡市職員・Gmoto Project)

岩崎 亨さん

富岡市出身

富岡市役所職員・Gmoto Project理事

Gmoto Project 活動の原点

「自分は、前に立って引っ張るタイプではないんです。」

そう穏やかに話すのは、富岡市役所で働きながら、一般社団法人Gmoto Project(ジモプロ)の理事を務める 岩崎亨 さん。

移住定住、観光、子育て支援——。行政職員として働きながら、プライベートでは群馬県の関係人口創出の活動を手掛ける一般社団法人Gmoto Projectで「群馬に関わる若者たちが出会い、つながる場」をつくり続けている。

Gmoto Projectの活動を通して生まれたコミュニティや企画は少なくない。しかし岩崎さん自身は、「自分が何かを作り上げた」という感覚はあまりないと言う。むしろ、誰かの“やってみたい”が形になっていく瞬間に立ち会えていることが、何より面白いのだと本人は語る。


富岡市出身の岩崎さんは、高校卒業後に富岡市役所へ入庁。今年で17年目を迎える。

転機になったのは、移住定住関連の業務で都内へ出向した時期だった。

「外に出てみて初めて、“自分は富岡のことを全然知らなかったんだ”って気づいたんです。」

その思いをきっかけに、富岡だけでなく、前橋や高崎、県外のイベントにも足を運び、「群馬ではどんな人たちが、どんな活動をしているのか」を見て回るようになった。


その中で出会ったのが、現在のGmoto Projectにつながる仲間たちだった。

当時はまだ法人でもなく、群馬の関係人口づくりに取り組む同世代の有志チームのような存在だったという。

「仕事で移住定住の仕事をしていたこともあって、“一緒に何かできたら面白そうだよね”というところから始まりました。」

最初から明確なビジョンがあったわけではない。

ただ、“面白そうな人たち”と出会い、一緒に動いてみた。

その積み重ねが、少しずつ今のGmoto Projectの活動につながっていった。

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法人化へのきっかけ

活動は極めて自然発生的だった。

イベントを企画し、地域のプレイヤーと出会い、また新しい企画が生まれる。

その循環の中で、学生、会社員、公務員、起業家など、多様な人たちが集まり始めた。

「ゆるくでも続けていると、次の活動やアイデアって自然に生まれてくるんですよね。」

そんな流れの中、高崎の居酒屋で仲間と飲んでいた時、ふと誰かが口にした。

「法人化したら面白いんじゃない?」

その場の“ノリ”のような会話から、一般社団法人Gmoto Projectはスタートした。

けれど今振り返ると、その偶然性こそがGmoto Projectらしさなのかもしれない。理念や制度ありきではなく、「この人たちと何かをやりたい」という感覚から生まれた。

誰かの「想い」に耳を傾けること

「人の話を聞くのが好きなんです」

インタビュー中、岩崎さんが何度も口にしていた言葉がある。

それは、「場をつくる」ということだった。

「自分が主役になって何かを成し遂げたい、というより、その場から誰かが飛躍していくのを見るのが好きなんです。」

Gmoto Projectでは毎月、「つきいち交流会」を開催している。

学生も社会人も、地域で活動する人も、そうでない人もいる。

毎回、特別なテーマは決めない。学校や仕事終わりにふらっと立ち寄り、その時そこにいる人たちと話し、笑い、つながる。

一見すると“ただの雑談”のようにも見える時間だ。

しかし、その場から新しい企画や活動が自然と生まれていく。

「“あの場があったから今がある”って、後から誰かが思ってくれたら嬉しいですね。」

岩崎さんにとって大切なのは、“成果を出すこと”以上に、“人が動き出すきっかけをつくること”なのだ。

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地域のニーズではなく、「やりたい」を起点にする

岩崎さんがコミュニティづくりで大切にしていることがある。

それは、「地域側の都合を押し付けないこと」だ。

「地域に農業の担い手不足があるから、若者に農業をやらせよう——それだと続かないと思うんです。」

大事なのは、まず本人の「やってみたい」があること。地域は、その思いを受け止める“フィールド”であるべきだと考えている。

その考え方から生まれたのが、若者による農業コミュニティ「Furatto」だ。

「農業をやってみたい」という若者の声を受けたとき、岩崎さんは知り合いを紹介する前に、「なぜそれをやりたいのか」を丁寧に聞き続け、富岡市の様々な団体とつなげていった。

結果として、農業コミュニティFurattoは5年経った今も、富岡という地域と深く関わりながら活動を続けている。

まず相手の言葉を否定せず受け取ること。その姿勢が、人と地域の持続的な関係を生み出している。

「趣味」で終わらせないために

一方で今、岩崎さんは新たな課題も感じている。

それが、コミュニティの“持続性”だ。

「これまでは“好きだから続けている”部分が大きかった。でも、それだけでは限界がある。団体として持続するためには収益性も必要だと思ったんです。」

行政職員として働いてきた岩崎さんにとって、「自分たちで価値をつくり、お金を生み出す」という感覚は未知の世界だった。

そこで現在挑戦しているのが、ビジネスを学びながら、Gmoto Projectの活動に“収益性”を掛け合わせることだ。

その一つとして考えているのが、「つきいち交流会」の進化版。若者と企業が自然につながる、“ゆるいコミュニティ”の価値を、地域企業にも開いていけないかと模索している。

背景には、地域企業が抱える悩みもある。

若者とのコミュニケーションの難しさ、価値観のギャップ、離職率——。

「企業側も、“若い世代が何を考えているのかわからない”という悩みを持っているんですよね。」

だからこそ、肩書きを外して対話できる場に価値がある。

「企業がお金を払ってでも参加したくなる場にできたら面白いなと思っています。」

地域づくりは、「誰かのやってみたい」から始まる

インタビューの最後、岩崎さんはこんな話をしてくれた。

「“公務員の岩崎”じゃなくて、無人島に身一つで行っても一人の人間として頼られる存在になれているか。」

それは、特別な能力の話ではない。

人の話を聞き、場をつくり、誰かの挑戦をそっと後押しすること。

地域づくりとは、派手なプロジェクトや大きな成功だけではないのかもしれない。

誰かの「やってみたい」を受け止め、小さなきっかけをつくること。

その積み重ねが、地域に新しい流れを生み出していく。



富岡市のお気に入りスポット

・おかって市場
 市役所前にあるまちの台所。新鮮な野菜や果物はもちろん、日替わりのランチも楽しみの一つ。併設している旧富岡倉庫広場やしるくる広場で開催している様々なイベントを目的に来富する人も多い。
・富光堂の食パン
 ここの食パンを食べたら、他のは食べれないほどの絶品。
 お気に入りは、たまごサンドと生チョコ。
・妙義山パノラマパーク
 妙義山の雄大な山並みを堪能できる。
 日の出とともに赤く染まる赤妙義は絶景。
・吉田七味店
 七味というよりふりかけ。特辛がおすすめ。
・菓匠星野
 季節のフルーツを使った生どら焼きは絶品。
 たまに出会えるカステラの切り落としは即買い。