INTERVIEW

2026.07.01

【渋川】千明 俊太さん(一般社団法人よはく 代表)

【渋川】千明 俊太さん(一般社団法人よはく 代表)

千明 俊太さん

渋川市

一般社団法人よはく 代表

地域×教育の挑戦

渋川市を拠点にフリースクールを運営しながら、高校生と地域の大人をつなぐ活動に取り組む人物がいる。一般社団法人ポータルで活動する千明俊太(ちぎら・しゅんた)さんだ。 高校教員としての経験、育休で見つけたまちの新しい側面、そして若者との日々の対話。その積み重ねが、千明さんの「教育」と「地域」への視点を形づくってきた。今回は渋川で千明さんが実践する、高校生の未来のつくり方を聞いた。

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高校教員から教育団体の代表へ

千明さんの原点は、高校教員として生徒と向き合った日々にある。模擬試験で県内上位に入るほどの歴史好きだった千明さんは、その面白さを子どもたちに伝えたいという思いから教員の道を選んだ。

「授業も好きでしたが、生徒会の担当をしていた時、生徒のアイデアを形にして学校に新しい風を吹き込むのが本当に楽しかったんです」

当時はコロナ禍で学校のルールが揺らぎ、新しい挑戦がしやすくなった時期でもあった。生徒と企画を立ち上げ、地域の人を巻き込みながら活動する一方で、学校の枠組みの中で外部とつながる難しさも痛感した。

「誰もやったことのないことを実行しようとすると、学校という枠ではどうしても止められてしまう。でも、学校の外で保護者の理解を得られれば、もっと自由にできることがある。そんな場所を自分でも作れたらと思うようになりました」

こうした経験から、千明さんは全国のユースセンターや高校生のサードプレイスに関心を寄せるようになっていった。

ユースセンター「よはく」の立ち上げ

千明さんは、現在は非常勤講師として教壇に立ちながら、一般社団法人ポータルでユースセンター「よはく」を運営している。 よはくでは、高校生が社会とつながり、街の魅力に触れながら多様な体験を積むことを目的に活動している。これまでに、市内の小中学生向け学習支援、歩行者天国イベントの運営、高校合同説明会の企画・運営など、幅広い取り組みを行ってきた。

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出会いが人生を変える

「進路講演で聞く“成功者”の話だけを聞いて社会を知った気になるのはもったいない。高校生のうちからもっと地域のいろんな大人と出会ってほしい。ゼロの状態から自力で“1”になるのは難しいけれど、一人と出会えれば二人目は簡単に行ける。だからこそ最初の出会いが大事なんです」

よはくでは、これまで高校生たちに数多くの出会いや経験を提供し、その結果多くの高校生が自分の進路を自分の意思で選び取ってきた。

例えば、PMSに悩んでいたある女子高校生は、渋川市のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)啓発プロジェクトに参加したことをきっかけに女性学に興味を持ち、大学の講義を聞き、啓発チラシを制作する中で「絶対にここで学びたい」と進路を決めた。

また、工学デザインに興味があった生徒は、よはくで街づくりの現場に触れたことで地域デザインの魅力に気づき、自ら学べる大学を探し出し進学していった。

若者が誰かとの出会いや経験を通して、自分の未来を自分で切り開く瞬間が、よはくでは確かに生まれている。

若者と大人が自然につながる街へ

そして、千明さんが今、特に力を入れているのが、若者と地域の大人の接点を増やすことだ。

「渋川をよく知らないまま、なんとなく都内へ進学するのではなく、地域の課題や人の魅力をもっと知ってほしい。そして、将来渋川に帰ってきてくれる人材を育てたい」

その思いから、最近では都内の学生が渋川に滞在し、まちの課題や魅力を体験するプログラムを企画した。

「一度東京に出た人や都会に住んでいる人は、外から見た群馬や渋川の良さを知っている。住んでほしいとまでは言わないけれど、渋川のことを“ちょっと縁のある自治体”と思ってもらえたら嬉しいですね」

まさに”関係人口”として、若者が渋川の人やコトと出会い、渋川にかかわっていく循環が生まれようとしている。

正解者にならない

進路選択という人生に関わる場面で、プレッシャーはないのだろうか。印象的だったのは、千明さんの“伴走者”としての姿勢だった。

「確かに人生を左右する仕事かもしれないけれど、自分が正解だとは思っていないし、それを子どもにも伝えている。僕はアドバイザーでしかない。決めるのは本人です。親を説得したいなら一緒に方法を考えるし、全力で力になる。でも最後に説得するのは自分だよ、と言っています」

この姿勢があるからこそ、若者はすべてを委ねるのではなく、千明さんの力を借りながら自分で舵取りをしながら進路を切り開いていいくのだろう。

 

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よはくの活動は、若者の進路支援にとどまらず、地域の未来づくりそのものだ。 高校生が地域を知り、地域が高校生を受け止める。その循環が生まれれば、渋川はもっと面白くなる。 千明さんの挑戦は、まちと若者の可能性を同時に広げている。

 

編集後記

取材を終えて感じたのは、「地域の教育は、地域の未来そのものだ」ということだった。 若者がまちに関わることで、まちは新しい視点を得る。大人が若者に関わることで、若者は自分の可能性を広げる。 その相互作用をつくろうとしている千明さんの姿勢は、地域で何かを始めたい人にとってもヒントになるはずだ。

渋川市のお気に入りスポット

インタビューの最後に、岩崎さんに富岡市のお気に入りスポットについて聞いてみた。

 ・だれでも広場

子育て世代にとって最高のスポット。めちゃお世話になひました。どんな環境に置かれた人でも「行っていい」場所。


・伊香保温泉 千明仁泉亭 やまのは 

群馬土産のセレクトショップ。店長の土屋さんセレクトの、手軽だけど奥深い選書された本たちが超ツボ。


・ポポラーレ

子どもの頃から行きつけのイタリアンレストラン。ボリュームたっぷりなこの店の「ベスビオ」が、人生最後に食べたいメニュー。辛いもの好きはやみつきになります! 


渋川へ足を運んだときには、千明さんを思い出しながら、ぜひ足を運んでほしい。